生活介護事業とは?施設の特徴は?
生活介護事業とは、障害福祉サービスの一種で、一般的には「常に介護を必要とする人に昼間、入浴・排せつ・食事の介護等を行うと共に、創作的活動又は生産活動の機会を提供する施設」となります。
当施設では入浴のサービスを行っていませんが、その分、日中活動の支援に力を入れています。
施設の利用者人数は1日平均20~30人。
平日の月曜~金曜日、9時10分から15時25分まで開設しています。
利用者の世代は10~60代で、男女比は5:5程度。
3障害(身体・精神・知的)のいずれか、又は重複障害の方が利用されています。
私が勤務する施設では、身体と知的の両方をお持ちの方が多く、障害程度区分も重度の傾向です。
障害の原因は、脳性麻痺・ダウン症・自閉症・交通事故に起因するものなど、様々です。
日中活動を具体的に言うと、内職作業や授産活動で、内職作業は企業から簡単な電気配線に使う小物の仕上げの仕事を請け負い、検品、数を確認して卸しています。
賃金は出来高制で利用者に還元しますが、額面は1カ月1,000円前後のおこづかい程度です。
内職の目的は利益を生むことではなく、利用者に役割を持って、やりがいや生きがいを感じていただくことなので、額面云々は二の次です。
授産活動では、授産品(施設で手作りしたオリジナル商品)を制作し、イベント等で販売したりしています。
生活介護事業所の職員構成は?
私の勤務する生活介護事業所の職員構成です。
・事業所長 1名
・主任(サービス管理責任者) 1名
・介護職員 10名前後(正社員・パート含みます)
・看護師 1名(非常勤)
介護職員の配置人数は利用者3名に対して職員1名が目安とされており、介護職員は送迎車の運転、経理、事務、広報、営業などの仕事を兼任しています。
昼食は仕出しのお弁当を取っているため、調理師や管理栄養士などはおりません。
生活介護事業における介護職員の仕事内容を教えてください
仕事内容は、日中活動の補助や、身体介護(主に排泄介助)がメインです。
日中活動の補助とは、利用者一人ひとりの心身の状態に合わせて仕事を振り分けたり、難しい部分は手伝ったりすることです。
身体介護とは、トイレ誘導・見守り・介助等ですが、これも利用者ごとに適切な方法が必要です。
また、当施設では曜日によってプログラムが以下のように変わる為、職務もその内容に則して変わります。
月・金曜日は授産活動の日、火曜日はレクリエーション(全体で遊んだり散歩に出かける)の日、水曜日は趣味(DVD鑑賞や読書、ゲームなど各々が好きなことをして過ごす。パンの販売を行ったりも。)の日、木曜日は1日作業(内職や野菜の販売など)の日。
例えばレクリエーションの日、自分が担当になったら企画・立案・遂行まで行います。
ゲームの内容を介護職員に説明して協力体制を作り、利用者全員が楽しめるゲームを行ったりします。
他にも事務作業などを兼任しているので、細かく幅広い仕事をこつこつ行っていますよ。
1日の仕事のスケジュールは?
日勤帯 | |
9:00~ | 朝礼、申し送り |
9:10~ | 席順決め、日中活動準備 |
10:30~ | 内職作業補助・見守り、洗い物、お弁当の具を刻む(咀嚼が難しい方向けに) |
11:15~ | うがい・トイレ誘導 |
12:00~ | 食事介助・見守り、食後の片づけ、午後の活動準備 |
13:00~ | 休憩 |
13:45~ | 作業補助(曜日ごとのプログラムに準じる)・見守り、コミュニケーション |
15:15~ | 終礼、利用者の帰宅準備(持ち物確認、移乗介助)、送迎 |
15:25~ | ケース記録記入、翌日の準備、事務、商品仕上げ、検品 |
17:30 | 終了 |
送迎担当者は8時から出勤し、利用者のお迎えに出発しています。
15時25分からは必要に応じて様々な目的、種類の会議に参加することもあります。
残業は1日30分~1時間程度で、それほど多くはありません。
生活介護事業の給与事情について教えてください。給料、年収、賞与、時給は?
私が働く生活介護事業所の介護職員の基本給は18万円。
手取りは残業代合わせて16~17万円前後です。
これに賞与4カ月分(夏・冬合わせて)、扶養手当や役職手当が付与されます。
年収換算すると、おおよそですが300万円ほどになります。
資格の有無により処遇改善手当も加算されるので、介護職員初任者研修や介護福祉士がある方は手当が加算されます。
年齢や勤続年数により昇給も見込めますが、勤続年数が10年くらいはないとそれほどの昇給は期待できません。
介護職員のパート時給は1,000円~1200円前後で、資格保有者が若干優遇されています。
生活介護事業所の介護スタッフの悩みや苦悩には何がありますか?
相手にとって何が不要で、何が必要か判断し、適切な支援を行うことは、簡単ではありません。
「この方にはどう接したら良いのだろう?」と、迷うことはよくありますね。
相手の理解力を見極めて、言葉の伝達が難しいならジェスチャーや単語、イラストを使って、コミュニケーションを図るように努力していますが、うまくいかない時もあります。
先日も自閉症の利用者に話しかけたら、「しんどい・・・うるさい」という反応が返ってきました。
暴言・暴力につながるか、穏やかに過ごしていただけるか、関わり方ひとつで結果が変わってきます。
正解が無い分悩みますが、それよりも、毎日をより楽しく過ごしてもらう為にはどうしたら良いのかを考えるようにしています。
あとは、どこでも同じだと思いますが、職場の人間関係。
職員間で仕事に対する姿勢や考え方が合わないと、ストレスを感じます。
利用者に対してというより、職員に対して抱く悩みの方が実際は多いかもしれません。
生活介護事業所における介護職員の役割って何ですか?
利用者一人ひとりに合った適切な支援を行うことが私たち生活介護事業所で働く介護スタッフの役割です。
時には利用者同士のいさかいを仲裁することもありますが、相手は人生の先輩。
利用者さんの行動に対して注意・声かけする場合は「自分が逆の立場だったらどう思いますか?」と根気強く、向き合うようにしています。
もしかしたら、おせっかいと思われているかもしれませんが、相手の気持ちを逆なでしないような対応が求められます。
私は、昔から人と接することが好きで、前職では飲食業で接客を経験し、職安で求人を見つけてこの職に就きました。
就いてみて思ったことは、サービス業、接客業と基本は変わらないということです。
広い視野を持って、一人ひとりを観察し、ニーズを導き出す力が求められるので、そういう意味でおせっかいと言われるぐらい人に関心がある、困っている人を放っておけない方なら適性があるのではないでしょうか?
自然と観察力が養われますし、より良い支援が出来るはずです。
私も転職組ですし、もしもこの職種に興味があるなら、狭き門ではありませんし、チャレンジは何歳からでも遅くはありません。
熱意をもって、一緒に頑張れる方と仲間になりたいと思っています。