看護師って介護職に対して何であんなに偉そうなの?

介護職であれば、一度は看護師に注意を受けたことがあるのではないでしょうか?

時には注意では済まず、叱られたり、嫌味を言われたりした介護職もたくさんいらっしゃることと思います。

「介護と医療は連携しなければならない」

これは色々な研修で聞かされていますが、「看護師って介護職に対してなんであんなに偉そうなの?」と感じてしまっていては、連携なんてできません。

そこで「看護師は何を考えているのか」「看護師はなぜいつもプリプリしているのか?(しているように見えるのか)」を考えてみましょう。

そうして「どうやったら看護師と力を合せて仕事ができるのか」を探ってみました。
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介護施設で働く看護師って何であんなに偉そうなの?

看護師には階級意識がある

まず知っておいてほしいのは、看護師の多くは「階級意識」を持っていること。

新人看護師の多くは、病院勤務からスタートします。

病院の経営者は理事長と呼ばれる役職に就いていて、必ず医者です。

理事長の下には、院長と副院長がいます。

院長も医者ですが、副院長は医者のほかに看護師が就く場合があります。

ここが「ミソ」です。

病院には医者と看護師のほかに、薬剤師、放射線技師、臨床工学技士、准看護師、看護助手(=介護職)、事務員などもいますが、極々少数の例外を除いて、理事長と院長のポジションには、必ず医者が就き、副院長は医者または看護師しか就けないのです。

つまり、看護師は医者以外で唯一、病院のナンバー2まで上り詰めることができる職種なのです。

ちなみに、看護師と表記する場合は、「正看護師」のことを意味しているので、「准看護師」は含みませんし、名刺でも准看護師は看護師と記載することは、原則できません。

これは、正看護師は国家資格で、准看護師は都道府県資格だからです。

両者は格が違うのです。

一般の患者からすると、正看護師も准看護師も同じ「看護師さん」ですが、正看護師は「看護師とは私たちのこと。准看護師とは別」と思っているのです。

看護師は自分が指示される人、指示しなければならない人を区別している

介護施設で働く看護師も、大半は過去に病院に勤めた経験があります。

なので看護師の心の中には「私に命令できる人」と「私が指示しなければならない人」が明確に区別されているのです。

また、介護施設で働いている看護師は、介護高齢者が急変したら「その命を救うのは私たちしかいない」という強い職業意識を持っています。

それで介護職が血圧や体温や酸素飽和度などのチェックを忘れたり、服薬介助を失敗したりすると、看護師は厳しく注意してしまうのです。

なぜなら看護師たちは、病院時代に医師や看護師長から、そのように厳しく育てられてきたからです。

看護師たちのプライドの高さと職業意識の高さが、介護職には「偉そう」と映るのです。

介護職の訴え「看護師だって完璧なわけじゃないじゃない」

”Y‚Ý-Žo特養や老人ホームや老健で勤めている介護職であれば、一度は入居者が治療のために入院したものの、退院して戻ってきた時「以前とは別人のように衰えていた」という経験をしたことがあるでしょう。

このような事態を経験すると「何の為に入院させたのか分からない」「病院に行かなきゃこんなに『落ちなかったのに』」と感じることもあるでしょう。

「落ちる」とは介護職がよく使う言葉で、「状態が悪化する」「ADL(日常生活動作)が落ちる」という意味です。

介護職にとって病院というのはブラックボックス。

病院でどのような治療が行われているか?を、よく分からない介護職は、どうして「落ちる」のか不思議に思うでしょう。

また逆に、病院での入院生活が長かった高齢者が、介護施設に移ったら元気になったという事例もたくさん報告されています。

ですから、介護職には「私たちの方が高齢者の生活の質を向上させられる」と自負があるのです。

つまり、介護職の中には「病院だって、看護師だって完璧ではない」と感じている人が少なくないので、そんな時に看護師から上から目線の指示を出されると、介護職は「上から偉そうに、ムカつく」と感じてしまうのです。

看護師の言い分は「介護職に任せられない」

134313ただ、介護職が理解してあげなければならないのは、「介護高齢者の命の責任は、看護師の方がより多く背負っている」ということです。

例えば、ある介護施設で入居者が急変したとします。

すぐに救急車を呼びましたが、搬送先の病院で死亡が確認されました。

その入居者は心臓病を患っていたので、それによる”突然死”と診断されました。

この時、その介護施設に看護師と介護職員がいたら、遺族はどのように思うでしょうか?

きっと、「看護師がいたのに、急変するまで何も対処できなかったのか?」と思うでしょう。

つまり遺族は、健康被害について看護師のことを責めても、介護職にクレームを付けることは少ないのです。

こうしたことから、介護施設で働く看護師は、常に「万が一の事態が発生した時に責められるのは私たち」という危機感を持っています。

だから、「介護職への指示は遠慮なく、的確に行わなければ」と考えているのです。

看護師と介護職の医療知識の差

看護師の厳しい管理に、水分摂取量があります。

医師がある介護高齢者に対し「水分摂取量を1日500ml以下にするように」と指示したら、看護師は厳格にこの指示を守ります。

それは、看護師は過去に、医師の指示に従わず、水分制限を守らなかった患者が急変した事例を経験しているからです。

例えば、人工透析を受けている腎不全患者が、1日500ml以上の水を飲んでしまうと、最悪死亡します。

またその逆に、医師が「このお年寄りには1日1500ml以上の水を飲ませるように」と指示するケースもあります。

これは排便のコントロールが難しい人や、内臓の調子が悪い人に出される指示です。

医師や看護師にとって「1日500ml未満厳守」も「1日1500ml以上厳守」も、科学的医学的根拠に基づいて行われる治療です。

しかし、医療知識がない介護職は、「600mlぐらいなら大丈夫じゃないか」「1400mlも飲めば十分でしょ」と考えてしまいがち。

もし、500ml未満厳守の介護高齢者が600ml飲んだり、1500ml以上厳守の介護高齢者が1400mlしか飲まなかったりしたら、その後の治療計画が大幅に狂ってしまいかねないのです。

このような背景があることから、看護師は、介護職から「水分摂取量が100ml位ずれたぐらいでキーキー言わないで」などと言われると、「この介護職員にはこれまで以上に厳しい態度で臨もう」と思ってしまうのです。

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介護職VS看護師。関係性を良くするために改善できること

126902同じ介護施設内にいても、介護職と看護師の業務内容は異なるので、仲良く連携することは難しいかもしれません。

看護師は指導的立場にあり、介護職はそれに従う立場にあることが多いので、どうしても看護師に「偉そうな態度」が生まれてしまうかもしれません。

ですが、どんなに仲が悪くても、利用者の命に関わるケースもあるので、介護職と看護師の2者は連携して仕事をする必要があります。

仲良く連携する必要はありませんが、仕事に関してはお互いの良い面を理解し、「信頼し合って連携」していかなければなりません。

介護職と看護師が関係性を良くするには、介護職は医療知識をもっと身に付けることが大切です。

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に関して1つでも知らない、口で説明できない項目があるなら、介護職と言えど、これらを高齢者に説明できるくらいの医療知識を勉強するべきです。

一見、偉そうに態度がデカく見える看護師でも、すべての介護職にきつく当たっている訳ではありません。

そのような看護師は「介護職として当然知っているべき知識を持っていない」人には厳しく接し、「看護師並みの知識を持っている」介護職員にはフレンドリーに接します。

それは、「この介護職さんは医療チームの一員だ」と認めているからです。

パワハラまがいの横柄な看護師は問題外ですが、介護職は「なぜこの看護師はいらついているのだろうか?」と考えてあげることも必要なんじゃないでしょうか。

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