離職者が多い介護の世界。
「仕事にはやりがいを感じる」という声は多いのに、なぜ辞めてしまう人が後を絶たないのでしょうか?
そんな疑問を、かつて介護の仕事をしていて退職し、その後に復職した人にインタビューさせていただきました。
Jさんは42歳の女性で、夫と1人娘の3人家族で、介護福祉士の資格をお持ちです。
2003年、29歳の時にホームヘルパー2級の資格を取り、介護老人保健施設(老健)に正社員として就職しました。
その老健には6年勤め、在籍中に介護福祉士の資格を取りましたが、2009年に人間関係を理由に退職し、そのまま介護から離れました。
それから7年が経過した2016年9月に、有料老人ホームに派遣社員として復職しました。
その経緯を復職から2カ月が経過した2016年11月にインタビューしましたので、掲載させていただきます。
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2003年に離職された理由や経緯を教えてください
辞めたのは、一言でいうと「人間関係」ですね。
働き始める前から「介護の世界は人間関係が大変」と聞いていましたが、老健に働き始めてすぐにその言葉が理解できました。
人間関係といっても、お年寄りと揉めることはほとんどありません。
お年寄りの家族にはクレーマーもいましたが、お客様ですので我慢できました。
それは私だけではなく、同僚も同じです。
辞めていく人は、一緒に働いている介護スタッフや上司に不満を持っている人がほとんどです。
なぜ、同僚間や上司との間で揉めるのかというと、介護の仕事には「正解」がないからなんです。
ほとんどの介護職は、「お年寄りのためにこうしてあげたい」と自分なりに考えています。
でも、何をするかがそれぞれ違うんです。
ある介護職が「無料の仕事になってもいいからお世話してあげたい」と思ったとしても、別の介護職は「無料の仕事にならないように、残業にならないように効率的に仕事を進めよう」と考えるんです。
そうなると、この2人の仕事の進め方は全然違ってきます。
そこから「無料仕事推進派」と「業務効率化派」に分かれ、抗争が起きます。
抗争というと、少し大げさに聞こえるかもしれませんが、実際はかなり深刻です。
私はどちらの派閥にも所属していなかったんですが、両方から「あっちのグループの人と話をしない方がいいよ」と耳打ちされました。
その上、上司が「無料仕事推進派」についてしまって、さらに混乱しました。
「業務効率化派は、優しくない、怠けたいだけだ」という声が主流になってしまったのです。
最後は理事長が出てきて仲裁に入ったので、なんとなく落ち着きましたが、火種はいつもくすぶっていましたね。
老健を退職された後は何をされてたんですか?
老健退職後は、夫の収入が安定しないので、仕事は何かしら続けなければなりませんでした。
ハローワークでは「せっかく介護福祉士の資格を持っているのだから、また介護の仕事をしてみたらどうですか?」「施設が違えば雰囲気がまったく異なりますよ」とも言われましたが、老健の時代に他の介護施設の噂を耳にしてたので、「同じ介護業界である以上、施設を替えてもいびつな人間関係は同じだろう」という諦めの気持ちがあったのと、同時にいい機会だし、なにか他の仕事がしたいと思ったので、介護の仕事以外を中心に仕事を探し始めました。
介護の仕事をやる前は元々飲食店にけっこうな期間勤務してたので、老健を辞めた後は喫茶店のウェイトレスと、スーパーのレジ打ちの掛け持ちでアルバイトしていました。
若い頃は、「自分で喫茶店を経営したい」とも思っていたので、久しぶりの接客業は楽しかったです。
また、介護の煩わしさから解放された解放感から「もう介護に戻ることはないな」とも、その時は思っていました。
それでも7年の時を経て介護に復職されていますが、何故でしょうか?
介護職に復帰した一番の理由は、介護福祉士の資格を使わないのは勿体ない!と思ったからです。
喫茶店とスーパーの同僚に「昔、介護の仕事をしていた」と言うと、「介護の資格は持っているの?」と聞かれ、介護福祉士を持っていると答えると、びっくりされました。
主婦をやりながら介護の仕事をしている人が持っているのは、ほとんどがホームヘルパー2級や介護職員初任者研修なんですよね。
自分で言うのもなんですが、上級資格である介護福祉士は、確かに取るのが大変でした。
実際、介護福祉士の資格を取るには時間もお金もかかっています。
それと、私もいつの間にか40歳を超えていて、なんか色んな事を許せるようになったんです。
老健時代の嫌な過去を思い出しても、「ああ、小さなことで腹を立てていたな」と思えるようになり、「お年寄りのお世話をもう1度したい」という気持ちが芽生えました。
私の両親も60過ぎなので、そろそろ介護が必要になる世代ですが、親が歳老いていく姿を見ると、老健の仕事が無性に懐かしくなったんです。
そのような気持ちの変化から、自宅近くの有料老人ホームで介護職員として再び働き始めたのです。
介護の仕事に復職する際、何が1番不安でしたか?
7年間のブランクは短くないと感じてて、正直、体も鈍っていたので、どれくらい動けるか心配でしたし、仕事もついていけるかとても不安でした。
まあ、7年間もブランクがあるので、不安な事は言えばキリがないですが、1番は仕事についていけるかということですね。
介護業界はブランクがあっても、介護福祉士の資格があれば間違いなく復職できるのは知ってましたが、年齢も年齢ですし、他のスタッフにあまり迷惑はかけたくない気持ちが強かったです。
ただ、とりあえず今のところは、有料老人ホームに勤め始めてから2カ月が経ってますが、、、仕事の勘は大分取り戻せましたかね、あと、体力も意外に残っていました(笑)
人間慣れれば何でもできるもんだな~と感心してます(笑)
あと、復職の際に不安だったのが、前に辞めた時は人間関係が嫌になって退職しているので、そこはトラブルにならないように細心の注意を払っています。
今の職場には20代後半の年下の先輩が2人いるんですが、私は絶対に”ですます調”は崩しません。
その年下の先輩は、「○○さん、年上なんで、ため口でお願いします」って言ってくれるんですが、それでも言葉遣いには気を付けています。
あと、なるべくプライベートで関わり過ぎないようにしています。
同僚と職場外で会ったのは、私の歓迎会の時だけです。
飲み会も昼食会も、子供がいるので断る理由が作りやすく、「付き合いが悪い」とは思われていないと思います。
復職先として有料老人ホームを選んだ理由は何ですか?
私自身は老健しか勤務経験がありません。
6年間勤めた老健は「縦社会」がしっかりしていて、施設長が医者で、この人が言うことは”絶対”でした。
「いや、そうじゃないでしょ」と思う意見も、施設長の意見が絶対。。
あと、看護師が威張ってて、入居者さんが発熱してるのを見つけてすぐに報告しても、「どうしてこうなるまで放っておいたの!?」って理不尽に怒ってくるんでホント嫌でした。。
こういうのは、恐らく特養も同じじゃないのかな!?と思い、復職先探しでは、老健と特養は最初に除外して求人を探しました。
求人探しはハローワークにも行ってますが、いくつか登録した介護専門の求人サイトの方が、求人も多いですし、今の介護現場の情報も掲載されてたので、とても役に立ちました。
最終的には「家から近い、土日休み、日勤のみ」などの条件面の合う有料老人ホームを紹介してもらい、施設見学して、自分の目で見て確認して、ここなら大丈夫だろうと思い、決めました。
あと、ここの有料老人ホームの採用面接の時に、施設長さんから「介護福祉士の資格はとてもありがたい」って仰ってくれ、「1年くらいして仕事に慣れたら、事務の仕事も手伝ってほしい」と言われ、最後はそれが「決めて」になりましたね。
50歳までは現場で働きたいと思ってますが、いつまでも介護の現場だと体力的に辛いじゃないですか?
事務と介護現場の掛け持ちなら、長く続けられそうだと思ったのが、ここに決めた1番の理由です。
最後にブランクを抱えている人にメッセージをお願いします
5年、10年と長いブランクを抱えている人も沢山いらっしゃると思いますが、一度体に染みついた「介護の動き」は、1カ月で取り戻せるので、そこまで思い悩むこともありません。
むしろ、今はどの介護施設も人が足りていないので、現場がとても気を遣ってくれるので、色んな人から「辞めないでね」って言われるくらいです。
介護に戻るなら今かもしれません。お年寄りの笑顔を思い出して、ぜひ戻ってきてくださいね。
ブランクがある介護福祉士におすすめの求人サイト
サイト名 | スマイルサポート介護 |
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運営会社 | HITOWAキャリアサポート株式会社 |
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運営会社 | 株式会社スタッフサービス メディカル事業本部 |
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