利用者さんからの頂き物ってみんなどうしてる?

利用者や利用者家族からの頂き物やプレゼントって皆さんどうされてますか?

利用者たちは感謝の気持ちを表したくて渡すのですが、介護職としては飴玉1個であろうと受け取ることに躊躇してしまいます。

皆さんは毅然とした態度でお断りしていますか?それとも時と場合によっては受け取ってしまっていますか?

果たして、正しい対応はあるのでしょうか?

実際に起きた事例や、「なるほど!」と感じる、頂き物の対処・処分法についてまとめました。
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利用者さんからの頂き物ってみんなどうしてる?【事例を紹介】

一番困る!利用者さんからお金・現金

money_10000頂き物・プレゼントの中で最も困るのはお金、現金です。

デイサービス勤務のAさんは、小学生の娘の受診で総合病院を訪れました。

その待合室に、デイサービスを利用してくれているおばあちゃんがいたので、Aさんが挨拶すると、おばあちゃんは「かわいい御嬢さんですね」と娘を褒めてくれ、そしておばあちゃんはバッグの中の財布から千円札を1枚取り出して、「はいお小遣い」と言って娘に渡してきたのです。

Aさんは「いえいえ、ダメです(汗)これはいただけません」と即座に言いました。

娘も受け取って良いものなのか分からないので、心配そうに私の顔を見ますが、おばあちゃんは「ここはデイサービスじゃないでしょ。仕事場じゃないから問題ないじゃない」と言って、無理やり娘の手に千円札を握らせてその場を離れていきました。

Aさんがおばあちゃんを追いかけなかったのは、その人の性格がきついからです。

千円札を返そうとすれば、押し問答になることは目に見えていました。

私は「これがジュース1本なら気持ちよく受け取れたけど、千円は額が大きすぎる」と思いましたが、デイサービスの上司に報告すれば、上司はきっと利用者全員に「職員にプレゼントしないで」と注意することになるでしょう。

そうなると、おばあちゃんは私が告げ口をしたと思うかもしれないので、結局、

  1. 誰にも言わない
  2. 千円札は使わずに封筒にいれて保管しておく
  3. 事態が発覚した時の為に、受け取ったときの詳しい経緯を記したメモを残しておく

――という対応を取りました。

Aさんがここまで用心しているのは、そのデイサービスでは「頂き物、プレゼント厳禁」というルールがあるからです。

特に現金については、施設長が「現金を受け取っていることが発覚したら解雇も辞さない」と介護職に伝えています。

このデイサービスのように、現金の授受に厳しい対応で臨んでいる介護施設は少なくありません。

お菓子やジュースとは異なり、例え低額であっても現金にはどうしても「賄賂(わいろ)性」が帯びてしまうからです。

 

お中元やお歳暮が自宅に届いてしまった

text_ochugen介護サービスを受けている利用者の家族から、介護職の自宅にお中元やお歳暮が届くというのは、都会の介護施設では起こりえない事かもしれませんが、地方だと簡単に発生する場合があります。

原則としては、介護職は利用者や利用者家族は個人の連絡先を教えてはいけないルールになっていますが、地方の介護施設だと、介護職が施設の近くに住んでいることも多々あるので、自宅の住所を調べるのはそう難しくない場合も多いです。

利用者もその家族も「優秀で気持ちが良い対応をしてくれる職員さんほど、プレゼントを受け取ってくれない」ということを重々承知していますが、利用者や家族たちが最も感謝したいのは、そういった介護職員なのです。

なので、職場でプレゼントを渡すことをせず、介護職の自宅にお中元やお歳暮を送りつけてしまう事があるのです。

いきなり贈られた方としては頭を抱えてしまいますよね。。

そこで、ある介護施設では、「頂き物を拒絶すると関係が悪化する場合、受け取っても良いが、必ず施設に報告すること」というルールを作っています。

この施設では施設長が利用者にお礼を言い、施設の職員全員で分けたことを伝えます。

また、別の事業所では介護職に対し、利用者が執拗にプレゼントを渡そうとしたら、「これを貰うと私、解雇されちゃうの」と言うように指導し「プレゼント攻撃」を止めさせることに成功しました。

いずれにしましても、施設長や社長など上に立つ人が、利用者たちに「プレゼント不要」のメッセージを伝えないと、間に立つ介護職は困惑するだけです。

 

線引きが難しい「ジュース1本」「大福1個」

sweets_daifuku_ichigo現金や値段が張るお中元などは「もらっちゃダメ」というのが分かりやすいですが、では、ジュース1本や大福1個を渡されたら、どうしたらいいでしょうか。

見解は様々でしょうが、原則としては「飴玉1つでも受け取ってはダメ」となります。

例えば、介護高齢者には生活保護を受けている人など、経済的な理由からプレゼントをあげたくてもあげられない人が少なくありません。

老人ホームで介護職に飴玉を配っている入居者がいて、介護職も「飴玉なら」とそれを受け取ってしまったら、プレゼントする余裕がない高齢者が惨めな気持ちになります。

ただ、あくまで原則なので、例外もあります。

例えば、ケアをしている時に介護職が咳をして、それを心配した利用者が”のど飴”をくれた場合、それは気持ちよく受け取ってもよいでしょう。

ただその場合でも、上司に「○○さんから飴をもらいました」と報告した方がいいでしょう。

原則のルールはどうなっているのか?

利用者からの頂き物に関しては、原則禁止なところがほとんどです。

介護職として働く人は、介護高齢者などの利用者から贈り物やプレゼント、現金、お中元やお歳暮などをもらってはいけません。

これは介護の大原則といえます。

新人の介護職だと「感謝の気持ちとしてなら少しくらい受け取っても良いのでは?」と考えるかもしれませんが、それは間違いです。

何故なら、介護職は「介護保険料や税金などの公的なお金」をもらって仕事をしているからです。

例えば、市町村が経営している介護施設であれば、そこで働く介護職は”公務員”です。

この「公務員の介護職」が、利用者から贈り物や現金を受け取ると、最悪、賄賂(わいろ)罪が適用されます。

法人や企業の介護職はもちろん公務員ではありませんが、「完全な民間ビジネスパーソン」でもないので、やはりプレゼントを貰えば「賄賂になる可能性がゼロではない」と言わざるを得ません。

また、悪意のある利用者家族なら、介護職や事業者に贈り物をした後に「あんな高価なものを受け取ったんだから、うちの母親を特別扱いしろ」と主張する輩がいるかもしれません。

ただ、介護保険制度が始まった当初、この贈り物禁止の大原則を「守りすぎている」事業所もありました。

訪問介護を行っていたその事業所は、訪問介護員に「訪問先では利用者が出すお茶も飲んではいけない」と指導していたのです。

ここまで禁止にしてしまうと、利用者とのコミュニケーションがスムーズにいかないので、介護における贈り物問題は「線引き」がとても難しいのです。

高齢者を傷つけない上手な断り方は?

sabetsu_gyakutai_otoshiyoriプレゼントをお断りする時は、毅然とした態度で、口調を柔らかく丁寧にお断りするのが大切です。

年配の方って何かあげたいって人すごく多いので、禁止されているとはいえ、押し付けるように渡してくる人も少なくありません。

そんな時でも、まずはあなた自身が毅然とした態度で「気持ちはすごく嬉しいけど、貰っちゃいけないルールになっているので」と丁寧にお断りするのが大切です。

ですが、「いいからいいから」と、押し付けられるように渡してくる方もいるので、どうしても断り切れず渡されてしまった場合は、上司に報告し、会社に預かってもらいましょう。

一番気を付けたいのは、無下に断って、その利用者との関係を悪くしてしまう事です。

こうならないようにする為にも、お年寄りの気持ちを傷つけないように対応してください。

頂き物やプレゼントはこう処分すれば「みんな平和」

roujin_family物は受け取ってはいけない、だけど何から何まで全て断っていると、コミュニケーションが取りにくくなる。。

このように考えている人も沢山いらっしゃるんじゃないでしょうか?

禁止している施設が多い中、介護職へのプレゼントを「顧客満足度のものさし」としている有料老人ホームもあります。

この施設では、介護職は利用者たちからプレゼントをもらってOKなのです。

もちろん、お中元や現金も受け取り可です。

この有料老人ホームは富裕層向けなので、「プレゼントをあげることができない」という入居者がいません。

ただ、介護職員は頂き物を受け取ったら必ず施設側に報告しなければなりません。

プレゼントが多い介護職ほど「良いサービスをしている」という評価になり、ボーナスも増えます。

これは欧米の飲食店で行われている「チップ制度」と同じ考え方といえます。

良いサービスに対して追加の報酬を与えることで、更に質の高いサービスを受けられる仕組みです。

また、「原則、頂き物はNGだが、拒絶できない場合は全て施設が預かる」という施設もあります。

こういった介護施設では、頂き物を保管しておき、職員の歓送迎会や親睦会の景品に使っているケースもありますし、職員のボウリング大会の賞品になることもあります。

「頂き物は職員全員で分ける」という考え方もアリなんじゃないでしょうか。

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