介護の現場は、毎日目まぐるしく変化するので、大変で辛いと感じる介護士も実際多いものです。
オムツ交換や、食事介助、入浴介助や環境整備など毎日しなければならないことが山積みです。
ですが、大変な現場だからこそ感じることができる、介護士としてのやりがいがあります。
やりがいがあるからこそ、介護の仕事を頑張ることができているのです。
この記事では、介護職としてやりがいを感じる瞬間はどのような時なのか、現役介護職員の声・口コミを交えて解説していますので、ぜひ、ご一読ください。
『介護職でやりがいを感じる瞬間は?』現役介護士に聞いてみた
① 利用者から『ありがとう』と言ってもらえた時
利用者の中には発語が上手くできなかったり、認知症の進行により感謝の言葉が言えない方も居ますが、様々な形で一生懸命『ありがとう』を伝えてくれます。
ありがとうとお礼の言葉を言われて、嫌な気分になる人なんていませんよね。
これは介護の仕事をするうえで、最もやりがいを感じられる瞬間ではないでしょうか?
利用者の介助をしていると、ありがとうと何度も感謝の言葉を言われます。
日常生活で言われるありがとうの回数とは比べ物にならないほど、感謝の言葉を言われるので、そのたびに気持ちが明るくなり『私でも人の役に立てているんだ!』と嬉しくなります。
失語症の利用者の介助あと、私の方にふと手を差し出してきました。
手を差し出し返すと、私の手を握り涙を流しながら何度も何度も手を強く握ってくれました。
失語症ということもあり、言葉で伝えることは出来ないけれど一生懸命私にお礼を言っていると思うとグッときました。
言葉でのありがとうと、表情でのありがとう。
どちらも本当に不思議な力を持っています。
介護の仕事をしていると、多忙がゆえに余裕がなくなることもあります。
ですが、私は今までたくさんの『ありがとう』に救われ、支えられ、介護士をしてよかったと心から思えます。
介護士として働いている人に、『やりがいとは何か?』と聞くと、必ず出てくる答えが『ありがとうと言ってもらえること』と答えます。
私たち介護士は、利用者の介助をしていると思われがちですが、実は、利用者から元気を貰っているのです。
介護の仕事と元気を繋げているのは、間違いなく利用者からの『ありがとう』という言葉なのです。
② 利用者が自分のケアだけを受け入れてくれた時
利用者は、時に「他の職員の介助は受け入れないけれども、自分の介助だけを受け入れてくれる」ことがあります。
恐怖心から入浴介助をかたくなに拒否する半身まひのおじいちゃんが、なぜか自分の入浴介助だけは受け入れてくれます。
他の職員との介助方法の違いは分かりませんが、自分の介助だけを受け入れてもらえるということはとても嬉しいです。
介護現場ではあまり良いことではないのですが、“〇〇さんが良い”と指名してもらえることがあります。
利用者が一人の職員に依存してしまうのは、介護業界ではあまり良い傾向とは言えませんが、指名された側としてはこれ以上にない喜びがあります。
利用者が特定の職員の介助しか受け入れず、しかもそれが自分ともなるととても嬉しいものです。
自分の介助を受け入れてもらえたということは、認めてもらえたということ。
介護士として働く上で利用者から認められるということは、喜びだけではなく、仕事に対するモチベーションにも大きく関わってきます。
③ 工夫して考えたケアの方法が成功した時
介助の難しい利用者でも、工夫の仕方によっては介助しやすくなったり、今まで不可能だと思われていたことができるようになることがあります。
今までスプーンで飲み物を介助していた利用者が露骨にスプーンでの介助を嫌がるようになりました。
施設に入ってきた時から、スプーンでの介助が当たり前の方でしたが、“軽くトロミをつけたらストローでも飲めるのでは?”と思い実行すると、見事にむせこみなく、飲用することができ、水分量をしっかり確保することができるようになりました。
ちょっとした工夫でしたがうまくいって嬉しかったです。
食事介助にしても、着衣の脱着介助にしても工夫一つでうまくいくことがあります。
もちろん思い通りにいかない仕事なので、失敗の方が多いですが、成功したときの達成感と喜びは他の何にも変えることができません。
介護の方法に正解はないと言われていますが、果たしてそれは合っているのでしょうか?
私が思う介護の正解は、『介護方法の正解・不正解ではなく、利用者が喜ぶか喜ばないか?』です。
一般的に見て、教科書通りの介助方法ではなくても、それで利用者が喜んだり、うまくいけば、それが正解です。
工夫して考えたケアの方法が、正解になったときの喜びは、介護に対するとても大きなやりがいに繋がるでしょう。
④ 利用者家族から感謝された時
利用者家族の言葉にはなぜか大きな力があります。
家族に感謝されると、自分の介護に自信を持つことができて、モチベーションアップにも繋がります。
利用者に感謝されることよりも、利用者家族に感謝される方が何となく嬉しい。
自分の介護の方法を認めてくれての言葉なのかな、と思うと“介護士でよかった”と思います。
この仕事をしていると利用者の家族から“この施設に来てから表情が明るくなった”と言われることが良くあります。
最高の誉め言葉です。
家族にここまで感謝されると嬉しい気持ちとともに“もっと頑張って良い介護をしよう!!”と思います。
利用者家族からの感謝の言葉はとてもありがたいものです。
対応の難しい利用者でも、家族に「いつもありがとうございます」と言われると『もっと頑張ろう』という気持ちになります。
介護は介護士だけではなく、家族の力があって成り立つものなのです。
感謝の言葉から介護士と家族が良い関係を持ち、より良い介護をすることができるようになります。
⑤ 行事で普段見ることのない利用者の表情を見た時
介護施設では年間の行事として様々なイベントが開催されます。
普段の生活では見ることができない、利用者のキラキラした笑顔や表情を垣間見てやりがいを感じることが多いです。
買い物外出に行き、自分でレジでお金を払うときにとても嬉しそうにしている利用者が多いです。
今まで当たり前にしていたことを当たり前にできなくなり、たまにできる喜びを全身で感じているように思え、見ている側としても嬉しくなってきます。
普段は全然動かないおじいちゃんが、盆踊りで元気に踊っていてびっくりしました。
普段見ることがない姿を見ることができるのは、介護士の特権だと思っています。
高齢者とともに行う行事は、ハッキリ言って大変です。
ですが、普段見ることができない利用者の表情を見ることにより、行事が大変という思いが払拭されるほど、行事をしてよかったと思えるのです。
達成感を感じるときは、やってよかったと思うことが多く、それがやりがいに繋がります。
行事は職員の息抜きにもなりますし、やりがいを感じることもできるので、行事を好む介護士は多いです。
⑥ 無事に一日を終えた時
無事に一日を終えたときに、介護士としてのやりがいを感じる人も多いです。
介護の仕事は大変ですが、一日を終えるとものすごい達成感があります。
達成感を感じるとともに、お年寄りの喜んだ顔を思い出して“やっぱり介護の仕事は楽しい!”と思います。
介護士としての仕事は、何もなかった一日よりも大変だった日の方が、やりがいや充実感を感じることができます。
退勤するときに“今日も一日ありがとう!お疲れさま!”と利用者に言ってもらえることが嬉しいです。
一日の仕事を終えると、大変だったという気持ちよりも、安堵感や充実感の方が勝ちます。
仕事中は多忙なので、やりがいについて考えることはほぼありません。
ですが、仕事を終えホッと一息ついたときに、介護の楽しさを再認識することができるのは、介護士ならではの魅力ではないでしょうか。
やりがいを感じられる環境が介護士を育てる
介護の仕事は精神的にも身体的にもキツイと言われている仕事です。
ですが、その中でやりがいがあると頑張れますし、楽しく働くことができます。
利用者にいいケアを提供するためには、介護士自身がやりがいを持って仕事が取り組める環境が必要です。
その環境が介護士を育てます。
また、達成感や充実感があるからこそ、介護士の仕事を続けられるのです。
ですが、介護は対人援助なので、流れ作業のように淡々とこなすような態度は決して許されるものではありません。
介護職として働くことがしんどい、辛いと感じたら、『なぜ今まで介護の仕事を続けることができていたのか?』を考えてみてください。
不満だらけの仕事も、実はもっと感謝するべきシーンがあったのではないでしょうか?
もしも、今の仕事にやりがいを感じられていないのなら、厳しいことを言うと、「真剣に仕事をしていないから」だと私は思います。
本気で向き合えば、必ず報われる日が来ます。
そう信じて仕事に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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